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工学に関わる我々は,人類,社会に有用なもの,便利なものを造る努力をずっと続けてきた.しかし,我々の造ってきた便利なもの,例えば電気製品などは今回のような大災害では停電で機能せず非常に脆かった.それに対しローソクなどは便利なものとはいえないが暗闇を照らし確かなものとして機能した.これからのものづくりは機能の追求だけでなく,確実性,特に安全性についての配慮が今まで以上に重要であると感じた.
今期の学会としてすべきことは,鈴木前会長やここ数年の歴代会長が挙げていることで重要なテーマばかりである.
○塑性加工プレゼンスの向上
学会会員は塑性加工の重要性,必要性を認識していると思われるので,会員以外の外に向かったアピールを積極的にしていきたい.何かをやったからといって急に成果が出る訳ではないので地道な努力が必要と考える.2011年8月3日06日にMF-TOKYO2011が東京ビックサイトで開催される.2009年に第1回目が開催され大成功をおさめている.これは鈴木前会長が日本鍛圧機械工業会会長として企画されたもので,本学会も特別協賛団体としてセミナーへの講師派遣,大学シーズ展示などで塑性加工をアピールできた.2011年も同様に協賛することになっており期待している.また,10月には次世代ものづくり基盤技術産業展TEC Biz EXPO2011が名古屋市のポートメッセなごやで予定されている.ここにも参加して塑性加工技術の紹介ができたら良いと考えている.他学協会や市公共団体等との連携を深めて,塑性加工の重要さを会員以外に向けて発信していきたい.
○会員メリットの明確化
創立50周年記念式典の中で会員歴40年以上の企業会員,個人会員に感謝の意を込めて功労賞が贈られた.永きにわたり学会を支えていただいたことに対し頭の下がる思いである.これまで本学会は,会員が期待されたことを十分やって来られたであろうか.会員メリットの明確化の問題は,難しい問題であるが理事会でも議論を続けたい.
○学会活動の活性化と国際力の強化
講演会,各種企画行事は年々決まったルーチンワークとして実施されているが,常にタイムリーな,また参加者が多く集まるイベントを考えていきたい.現在は会員以外でもネット上で簡単に情報を得ることができるので,多くの人が関心を持つような行事をすることが学会のプレゼンスを向上させることにもつながる.また,本学会および日本の塑性加工研究者は,世界の中での存在意義を今まで以上に高める必要があり,積極的に外に向かって情報発信をする努力をしていくべきと考える.一時期実施していた韓国や中国の塑性加工学会の交流,連携も今一度考えてみたい.
○産官学連携の強化
塑性加工は,材料,金型,加工機械,潤滑剤などなど広い分野の総合力が重要で,新しいものを一つ完成させるためには,人と時間と金がかかる.国は外部資金と称していろいろな段階での研究をサポートするための資金を提供している.例えば,ものづくり中小企業に対しては,サポインと呼ばれる支援事業が動いており,そこには大学,公設研究所もチームとして参画できる.このようなプロジェクトのチームづくりや研究内容,計画書作成づくりに学会が貢献できる余地があるものと思う.
○人材の育成
日本鍛造協会に協力して実施している中核人材育成事業(鍛造マネージャー育成塾)は,将来の鍛造業を担う若手技術者を育成する人材育成プログラムで,2011年度は3年目で順調に実施されている.鍛造分科会から多くの講師が担当している.鋳造,熱処理等の他の基盤技術分野でも同様なプログラムが実施されているが,鍛造分野の特徴は,鍛造基礎から経営,管理までの幅広い内容を1泊2日の全12科目で行い,基礎の3科目については大学院(名古屋大学)の鍛造特論としても開講することにある.この特論では鍛造企業の実務経験者と大学院生が講義を受け,実験実習,工場見学,ディスカッション,プレゼンテーションを一緒に行う点にある.学生と企業で働いている実務経験者がそれぞれの知識,言動に刺激しあってとても良いプログラムとなっている.人材育成のプログラムはいろいろ実施されているが,学会として行うものとして参考になる例の一つと考える.
我が日本塑性加工学会も創立50周年という記念すべき節目を迎えた.5月の春季講演会の折に学会創立50周年の式典が執り行われ,各種の記念イベントも開催された.記念すべき区切りとして後世に伝えるべきものは会誌の記念号等でまとめられている.また,次の新しい半世紀に向かっての活動に今まで以上のご支援をいただきたい.