会長挨拶

2016_kaichou
会長 山崎 一正(日本金属㈱)

 

 当学会は、昭和26年に始まった塑性加工研究会を前身に、昭和36年に現在の姿となりました。戦後の日本の産業界の発展、とりわけ自動車分野の発展を技術面、学術面で支えてきました。過去に在籍していた諸先輩方、あるいは今も当学会を支えている会員の方々はその貢献は大であったと自負しております。大学の機械・加工系、金属・材料系の学部・学科が縮小し、また、産業界における生産技術が成熟した感もある中、当会会員は現状に満足せず、さらなる発展を目指して、講演会、セミナーなどの活動を通じて、塑性加工技術の深化を図っています。現在の活動は、会全体としての春・秋の講演大会に加えて、9つの支部、18の分科会、2つの研究会でそれぞれ専門的な活動を行っています。技術が細分化している現在、皆さまの中に真に技術の深化を望む方がおられたら、当会に加入し、テーマごとに開催される講演会や特定のテーマで活発な議論が行われる分科会に参加して、是非ともその技術力を高めていただきたいと思います。

 日本の強みは材料分野であると言われます。しかし、それを活かす加工技術があってこそ、材料の機能が発揮できるものだと思います。行政府のプロジェクトとしては、「元素戦略プロジェクト」、「エネルギー・環境新技術プログラム」、「次世代自動車向け高効率モーター用磁性材料技術開発」、「希少金属代替省エネ材料開発プロジェクト」、「次世代構造部材創成・加工技術開発」、「革新的新構造材料等技術開発」などが進行しています。一部加工技術がうたわれているものの、そのほとんどが材料開発に主眼が置かれています。しかしながら、これらの材料を活かすも殺すも、加工技術の進歩にかかっていると思います。たとえば、どんなに磁気特性の良い材料を開発しても、極めて脆く、加工に堪えないものであったら実用化はできません。このような材料でも、加工技術を進歩させ、打ち抜き加工、積層加工が楽にできるようになれば、高い効率のモーターを完成させることができます。これは、ほんの一例ですが、すべてにおいて加工の下支えは重要であると考えています。材料の進歩とともに必要とされる加工技術への要求も高まるでしょう。あるいは、材料の開発に際しては同時進行的に加工技術を開発しなければ、材料が開発できないといった例もあると考えられます。加工技術に関する要求は留まるところを知らないものです。日本の「モノづくり」を支える加工分野は、若い人たちが一生をかけるだけの魅力があるものだと考えています。

 今後とも当会の活動に関するご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。